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なぜクレヨンは絵の具をはじくの? 【疑問氷解】

Q なぜクレヨンは絵の具をはじくの?(岐阜県多治見市、小6)

クレヨンの油が絵の具をはじく

 A クレヨンで絵を描くと、確かに、色を塗った部分は水や絵の具をはじきますね。そもそもクレヨンは何でできていて、どんな特徴があるのでしょうか。大手文具メーカー「サクラクレパス」(大阪市)の中央研究所第一チーム課長、岩中佳子さんに教えてもらいました。

 クレヨンは、ろうそくの「ろう」と同じようなろうと、少しの油、色の粉である顔料でできています。まずは、高温で溶かしたろうと油を混ぜたものに顔料を入れて、細かくすりつぶします。そして形を整え、固めて作ります。

 絵の具をはじくのは、材料に油を使っているからです。クレヨンと絵の具はほとんど同じ顔料を使っていて、絵の具は水と顔料、樹脂でできています。性質が合わないものを「水と油の関係」といいますが、水と油は混ざり合わずにはじき合う関係にあります。それで、クレヨンの油が絵の具の水をはじくのです。

 他にも、油が使われた、絵を描く道具がありますが、油の量などによって水のはじき方が違います。例えば、色鉛筆の材料にも少量の油が使われていますが、色鉛筆は紙につく量が少ないので、見て分かるほどには水をはじきません。一方、クレヨンは色鉛筆よりもやわらかく、どんどん紙にくっついていきます。紙につく油の量が多いので、水をはじきやすいのです。

 ところで、クレヨンは色によって重さが違うことに気づいている人はいますか? 色の違いは顔料によって決まりますが、顔料の素材は色によって違います。一番軽い黒は石炭を燃やした時に出るススで、一番重い白は金属を化学反応させて作っています。黒はふわっとしたススなので軽く、白は金属由来なので重たいのです。サクラクレパスのクレヨンでは、白がクレヨン1本で6・7㌘なのに対して、黒は5・3㌘しかありません。

 クレヨンを自分で溶かして、オリジナルの色にすることもできます。大体60度くらいで溶けるそうです。短くなったクレヨンを何色か混ぜて、マーブルクレヨンを作ることもできます。マーブルクレヨンの詳しい作り方は、同社ホームページに載っているので見てみてください。

 岩中さんは「クレヨンの良さは紙に描いた時のなめらかさです。発色も良いので、子どもたちが思ったことをそのまま描けるのが良いところだと思います。紙の上で色を重ねて混ぜることもできるので、他のペンとかではできない表現がたくさんできます」と話します。【毎日小学生新聞編集部・真田祐里】(毎日小学生新聞2023年7月17日掲載) 

青い水彩絵の具の上に黄色いクレヨンで描かれた星。水分をはじいて線が浮き上がった=東京都千代田区で2023年7月11日、北山夏帆撮影

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