Q お風呂の鏡は、なぜふいてもふいてもくもってしまうのですか。(東京都、中2)
鏡面についた水滴が乱反射する
A お風呂の鏡がくもるのは、鏡面についた水滴に、光があたって乱反射(さまざまな方向に反射すること)して、白く見えるから。鏡に無数の水滴ができるのは、「表面張力」が関係しています。
表面張力は、液体が表面積をなるべく小さくしようとしてはたらく力です。水の分子は、水中では、分子(ある物質がその性質を失わない一番小さなまとまり)同士の引力がすべての方向にはたらいてひっぱり合ってつり合っています。しかし、水の表面が空気に触れると、分子間の引力がつり合わなくなります。表面張力がはたらくことで、水は、表面積が一番小さい球体になろうとします。
表面張力で球体となった、鏡についた水滴に、光があたるといろいろな角度に光がはね返って進むからくもるのです。お風呂は、常に湯気が出ているので、常に鏡に水がついてしまいます。だから、ふいてもふいても、くもってしまいます。
では、くもり止めを塗ると、くもらなくなるのは、なぜでしょうか。「バス用くもり止めフィルム」や「塗りやすいくもり止めリキッド」を販売している、使い捨てクリーナー「激落ちくん」でおなじみのレック企画本部企画部商品企画2課の越川義己課長は、「界面活性剤の力で、水を横に広げれば、くもらなくなります」と話します。
洗剤やせっけんに含まれる界面活性剤は、水にとけると表面張力を小さくして、布などについた水にとけない汚れを包ではがします。お風呂の鏡に界面活性剤が入ったうすい膜を作ることで、表面張力が弱くなり、水は横に広がり、鏡をおおう膜(水膜)になります。
「くもらない加工がしてある鏡もあります。これは、界面活性剤を鏡面にコーティングして、ある技術ではがれないように定着させています」と越川さん。鏡が汚れていると水滴ができやすいので、まずはきれいにふくこともおすすめだそうです。【毎日小学生新聞編集部】
(「疑問氷解 Vol.8(毎日小学生新聞)」より)