核兵器をめぐる考え方に「核抑止論」というものがあります。抑止とはこの場合「『 攻撃しても反撃される』と他国に思わせることで、自国への攻撃を思いとどまらせること」を意味します。そのための軍事力が抑止力です。抑止力に核兵器を用いれば、他国は核兵器による仕返しを恐れて自国を攻撃してこないだろう――これが核抑止論の考え方です。
核抑止論については「世界の平和を維持するうえで有効だ」とする立場があります。念頭にあるのは冷戦時代です。核保有国であるアメリカとソ連が対立しましたが、核戦争には至りませんでした。核兵器を撃ち合えば、他国のみならず自国も大きな被害を受けると互いに理解していたからです。
これに対して、核抑止論に批判的な意見として「相手の考えを読み誤ったり、偶発的な事故が起きたりすれば、意図せず核戦争に陥る恐れがある。冷戦時代にもキューバ危機(*)のような場面があり、核戦争が起きなかったのは結果論に過ぎない」との主張 もあります。「核抑止論を認めれば自国を守るために核兵器を持とうとする国が増え、核軍拡に歯止めがかからなくなる」との心配もあります。
*キューバ危機……冷戦時代の1962年、アメリカの目の前に位置する島国キューバに、ソ連が核兵器を持ち込んでいたことが発覚し、アメリカとソ連の間の緊張が一気に高まったこと。キューバ危機によって世界は核戦争寸前の事態に陥った。
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