Q 台風が進む右側は風が強いそうですが、なぜですか。南半球でも同じですか?(京都市、小6)
台風を運ぶ風が風速を強める
A まず、台風の進行方向に向かって右側の方が左側よりも風が強いことを確かめてみましょう。図1は、日本列島に過去、大きな被害をもたらした室戸台風(1934年)、伊勢湾台風(59年)、7010号台風(70年)の地上での風の強さを表しています。中心から東側の方が、強い風が吹いていることが分かりますね。
台風は、赤道に近い熱帯の海で生まれます。強い日射で海水が暖められ、大量の水蒸気が発生し、上昇します。海面の近くでは、上昇した空気を補うために周りから湿った空気が流れ込みます。その空気は地球の自転の影響を受け、北半球では反時計回り、南半球では時計回りの渦ができます。つまり、日本にやってくる台風は、左回りの風が吹いています。
熱帯地方で生まれた台風は、上空の風に乗って移動します。日本では毎年7~9月、台風は時計回りの風を吹き出している太平洋高気圧のふちをまわってやってきます。
この時、台風の右側では、台風を運ぶ風と、台風自身の風が同じ方向に吹いています。左側では二つの風が逆に吹き、台風自身の風が弱められます。そのため、台風の右側の方が、風が強くなるのです(図2)。
南半球でも同じ仕組みで時計回りの空気の渦ができ、「サイクロン」などと呼ばれています。これらは熱帯地域から南極に向かって進むので、左側の方が風が強くなります。図に書いてみると分かりやすいですよ。
【毎日小学生新聞編集部】
(「疑問氷解 Vol.7(毎日小学生新聞)」より)