千客万来ニッポン どう考える?【月刊Newsがわかる7月号】

次世代の「新幹線のお医者さん」 「ドクターS」ってどんな車両?【ニュース知りたいんジャー】

新幹線しんかんせんお医者いしゃさん」がかえってきます。そのも「ドクターS」――。東海道新幹線とうかいどうしんかんせんに2027ねん線路せんろなどの設備せつび点検てんけんする新型しんがた車両しゃりょう導入どうにゅうされます。点検てんけん専用せんようではなく、点検てんけん営業えいぎょう運転うんてん両立りょうりつさせた「二刀流にとうりゅう」です。

 ドクターイエローってなに

 東海道とうかいどう山陽新幹線さんようしんかんせんでレールや架線かせん点検てんけんする車両しゃりょうです。正式せいしき名前なまえは「新幹線電気軌道総合試験車しんかんせんでんききどうそうごうしけんしゃ」ですが、いわば「新幹線しんかんせんのお医者いしゃさん」。車体しゃたい黄色きいろいので、「ドクターイエロー」とばれてきました。カモノハシにている700けいをベースに開発かいはつされた車両しゃりょうは、JR東海とうかいとJR西日本にしにほんが7りょう編成へんせいで1くみずつち、東京とうきょう博多はかたかん10日とおかに1かいほど往復おうふくしました。運行うんこうダイヤが非公開ひこうかいで、めったに姿すがたられないことから、「るとしあわせになる」という都市伝説としでんせつ(うわさ)もまれました。
 JR東海とうかいのドクターイエローはふるくなったため、2025ねんがつ引退いんたいし、「リニア・鉄道館てつどうかん」(愛知県名古屋市あいちけんなごやし)で展示てんじされています。JR西日本にしにほんのドクターイエローも2027ねん以降いこうをめどに引退いんたいする予定よていです。

最後の検測走行を終えたJR東海の「ドクターイエロー」=東京駅で2025年1月29日

 おきゃくさんをせられるの?

 ドクターSは、東海道新幹線とうかいどうしんかんせん最新さいしんがた車両しゃりょう「N700S」をベースに開発かいはつされました。
設計せっけいのポイントのひとつは、おきゃくさまをせる客室きゃくしつ影響えいきょうないようにすることで、機器ききのコンパクトちかられました」
 こう説明せつめいするのは、JR東海とうかい技術開発ぎじゅつかいはつ電車線でんしゃせん技術ぎじゅつグループのリーダー、寺田てらだ泰隆やすたかさんです。ドクターSの開発かいはつチームをひきいました。
 寺田てらださんによると、ドクターイエローは車体しゃたいした点検てんけん機器ききをつけるときゆかを12センチメートルほど底上そこあげする必要ひつようがありました。この影響えいきょうで、うえのスペースが通常つうじょう車両しゃりょうよりせまくなり、おきゃくさんをせられませんでした。
 ドクターイエローは、レールまでの距離きょりをレーザーこう使つかってはかり、異常いじょうつけます。これにたいし、ドクターSは台車だいしゃ部分ぶぶんのセンサーで車体しゃたいかたむきなどをつける方式ほうしきれました。機器きき小型化こがたか軽量化けいりょうか成功せいこうし、客室きゃくしつのスペースを確保かくほしたそうです。こうした技術ぎじゅつてき進歩しんぽによって、旅客りょかくせて高速こうそくはしりながら、同時どうじにレールの異常いじょうをミリ単位たんい精度せいどでつかめる「営業えいぎょう車検しゃけんそく」が実現じつげんし、「二刀流にとうりゅう」の新幹線しんかんせんまれました。

 どんなあたらしい機械きかいがあるの?

 寺田てらださんが「試行錯誤しこうさくごかさねた」とかえるのは、パンタグラフ付近ふきんにつける高性能こうせいのうカメラシステムです。最高さいこう時速じそく300キロメートルの走行そうこうにたえながら精密せいみつ画像がぞう撮影さつえいし、車外しゃがい転送てんそうします。ドクターイエローにはありませんでした。
 撮影さつえいした画像がぞう解析かいせき人工知能じんこうちのう(AI)を活用かつようするのも、あらたなこころみです。AIにあらかじめ正常せいじょう状態じょうたい学習がくしゅうさせておき、金具かなぐなどのわずかな変形へんけい破損はそん見逃みのがしません。
 「わたし現場げんばにいたころは目視もくし確認かくにんしていました。あめっても関係かんけいなく、東京とうきょう新大阪しんおおさかあいだをひたすらあるいて調しらべます。しんシステムで省人化しょうじんかはかられ、点検てんけん精度せいど向上こうじょうします」と、寺田てらださんは期待きたいせます。
 ドクターSは東京とうきょう新大阪駅しんおおさかえきかんの1往復おうふくやく40万《まん》金具かなぐ点検てんけんできるそうです。おなじようなカメラシステムは先頭せんとう車両しゃりょう運転うんてんだいにもつけ、とり飛来ひらいぶつなど、線路せんろじょう障害しょうがい物《ぶつ》があるかどうかをAIが自動じどう判定はんていします。

 「S」ってどういう意味いみ

 JR東海とうかいによると、ドクターSの「S」は、「最高さいこう」や「至上しじょう」といった意味いみ英単語えいたんご「supreme(サプリーム)」のかしら文字もじ由来ゆらいします。N700Sをはじめ、新幹線しんかんせん仕事しごとをしたいビジネスパーソンけの「S Work車両しゃりょう」など、「S」は新幹線しんかんせんのブランド戦略せんりゃくもちいられています。
 ドクターSの車両しゃりょう通常つうじょうの「のぞみ」などとおなじようにあおしろ配色はいしょくです。車体しゃたいけい20かしょかかげる「Dr.S」のロゴマークは、黄色きいろ基調きちょうです。「あえてドクターイエローのイメージをのこしました」(JR東海とうかい広報担当者こうほうたんとうしゃ
 また、ドクターイエローのアルミ部品ぶひんを「水平すいへいリサイクル」で屋根やね側面そくめんさい利用りようし、環境かんきょうにもくばっています。

 いつからはしるの?

 ドクターSは4編成へんせいかく編成へんせい16りょう)による運用うんよう予定よていし、今年ことし10がつから営業えいぎょう運転うんてんをしながら試験しけん運用うんようはじめます。2027ねんがつ本格ほんかくてき点検てんけん走行そうこうはいります。
 鉄道てつどうジャーナリストの梅原淳うめはらじゅんさん(60)は「毎日まいにちとまではいかなくても、2、3にちに1かいといった頻度ひんど運行うんこうできるようになり、精度せいどたか検査けんさにつながるはずです」とメリットを解説かいせつし、こうかたります。
車体しゃたい黄色きいろではないのにロゴマークは黄色きいろ。JR東海とうかいでこうしたデザインはめったになく、画期的かっきてきです。PRにちかられているようにおもいます。人気にんきあつめるのではないでしょうか。新時代しんじだい新幹線しんかんせんであり、わたしってみたい」

(2026ねんがつ3日みっか毎日小学生新聞まいにちしょうがくせいしんぶんより)

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