社会科なんでもランキング【月刊Newsがわかる10月号】

「関税」って何なの?【ニュース知りたいんジャー】

小麦こむぎを海外かいがいから買かったり、自動車じどうしゃを海外かいがいへ売うったりと、私わたしたちの暮くらしや経済けいざいは、貿易ぼうえきがないと成なり立たちません。しかし、アメリカのトランプ政権せいけんは、各国かっこくからの輸入品ゆにゅうひんへの関税かんぜいを引ひき上あげ、貿易ぼうえきや世界経済せかいけいざいへの影響えいきょうが心配しんぱいされています。そもそも、関税かんぜいの役割やくわりとは、何なんなのでしょうか。

 どんな役割やくわりがあるの?

 関税かんぜいは、海外かいがいから買かう食料品しょくりょうひんや自動車じどうしゃなどの商品しょうひん(輸入品ゆにゅうひん)にかけられる税金ぜいきんです。日本にっぽんでは、外国がいこくから商品しょうひんを輸入ゆにゅうした者ものは、日本政府にっぽんせいふに関税かんぜいを納おさめます。輸入者ゆにゅうしゃが払はらった関税かんぜいは最終的さいしゅうてきに、消費者しょうひしゃが買かう時ときに支払しはらう商品価格しょうひんかかくにプラスされます。

 その役割やくわりには、▽税収ぜいしゅうを国くにの財源ざいげんにする▽国内産業こくないさんぎょうの保護ほご▽相手国あいてこくが貿易ぼうえきで損害そんがいを生しょうじさせた場合ばあいの制裁機能せいさいきのう――があります。

 国内産業こくないさんぎょうの保護ほごとは、関税かんぜいをかけることで輸入品ゆにゅうひんの価格かかくが上あがるため、それらに対たいする価格競争かかくきょうそうで国産品こくさんひんを有利ゆうりにできることです。例たとえば、日本政府にっぽんせいふは輸入牛肉ゆにゅうぎゅうにくに38.5%の関税かんぜいをかけて、国産牛肉こくさんぎゅうにくを守まもっています。コメについては無関税むかんぜいで輸入ゆにゅうしますが、民間事業者みんかんじぎょうしゃによる輸入ゆにゅうには1キログラム当あたり341円えんの関税かんぜいがかかる独自どくじルールを設もうけています。

 一方いっぽう、制裁機能せいさいきのうとは、商品しょうひんを国内こくないよりも低ひくい価格かかくで輸出ゆしゅつする不当廉売ふとうれんばい(ダンピング)をしたり、輸出ゆしゅつを増ふやすため企業きぎょうへ補助金ほじょきんを出だして輸入国ゆにゅうこくの産業さんぎょうに損害そんがいを与あたえたりする国くにに対たいし、高たかい関税かんぜいをかけてこらしめることです。

 昔むかしは戦争せんそうにつながったことが?

 世界的せかいてきな不況ふきょう「世界恐慌せかいきょうこう」が起おきていた1930年ねん、アメリカは自国産業じこくさんぎょうを守まもろうと、輸入品ゆにゅうひんに高たかい関税かんぜいをかける法律ほうりつを作つくりました。これを保護主義政策ほごしゅぎせいさくといいます。

 イギリスやフランスも、アメリカなどに対抗たいこうして高関税こうかんぜいをかけました。また主要国しゅようこくは、植民地しょくみんちや領土りょうどの間あいだで関税かんぜいを引ひき下さげる一方いっぽう、その地域以外ちいきいがいには高たかい関税かんぜいをかける「ブロック経済圏けいざいけん」を作つくっていきました。このため世界せかいの自由貿易じゆうぼうえきは妨さまたげられ、主要しゅよう75か国こくの総輸入そうゆにゅうは4割以下わりいかにまで減へったといいます(経済産業省けいざいさんぎょうしょう「通商白書つうしょうはくしょ2019」から)。そして世界的せかいてきに不況ふきょうが長引ながびいて各国かっこくの政治的せいじてき・経済的けいざいてきな対立たいりつが強つよまり、第二次世界大戦だいにじせかいたいせんが起おきた理由りゆうの一ひとつになったともいわれます。

 その反省はんせいから、戦後せんごの1947年ねんに生うまれたのが、貿易ぼうえきの自由化じゆうかを進すすめる関税貿易一般協定かんぜいぼうえきいっぱんきょうてい(GATTガット)です。その後ご95年ねんに、各国間かっこくかんの貿易紛争ぼうえきふんそうを解決かいけつする機能きのうも備そなえた世界貿易機関せかいぼうえききかん(WTO)に引ひき継つがれました。

 トランプ大統領だいとうりょう「関税かんぜいは武器ぶき」 狙ねらいは?

 アメリカのトランプ大統領だいとうりょうは、輸入額ゆにゅうがくが輸出額ゆしゅつがくを上回うわまわる貿易赤字ぼうえきあかじが「アメリカの産業さんぎょうを痛いためつけ、雇用こようを奪うばっている」と主張しゅちょうしています。関税かんぜいを、▽アメリカの製造業せいぞうぎょうの復活ふっかつ▽2国間交渉こくかんこうしょうの取引材料とりひきざいりょうにする▽国家こっかの収入増加しゅうにゅうぞうか――という三みっつの目標もくひょうを同時どうじにかなえる「万能薬ばんのうやく」と考かんがえているようです。

 トランプさんは「適切てきせつに使つかえば、関税かんぜいは非常ひじょうに強力きょうりょくな武器ぶきだ。経済問題以外けいざいもんだいいがいのことでも成果せいかが得えられる」と話はなし、1月がつの大統領就任直後だいとうりょうしゅうにんちょくごからメキシコとカナダに不法移民ふほういみん・麻薬密輸対策まやくみつゆたいさくを要求ようきゅう。また中国ちゅうごくに対たいしても麻薬流入対策まやくりゅうにゅうたいさくが不十分ふじゅうぶんだとして、これら3か国こくに、もともとかけている関税かんぜいにプラスする「追加関税ついかかんぜい」をかけました。

 また、「高関税こうかんぜいが嫌いやならアメリカに工場移転こうじょういてんを」と主張しゅちょうし、全すべての国くにから輸入ゆにゅうされる鉄鋼てっこう、自動車じどうしゃなどに25%の追加関税ついかかんぜいをかけました。さらに全世界ぜんせかいに一律いちりつ10%の関税かんぜいをかけ、貿易赤字ぼうえきあかじの相手国あいてこく・地域ちいきには「相互関税そうごかんぜい」を発表はっぴょうしました。相互関税そうごかんぜいは最大さいだい50%(日本にっぽんには24%)までプラスする内容ないようです。

日産自動車九州苅田工場に隣接する港湾エリアに並ぶ、完成した自動車。奥に見えるのは輸出車の運搬船=福岡県苅田町で4月10日

 「トランプ関税かんぜい」の影響えいきょうは?

 トランプ政権せいけんの関税強化かんぜいきょうかで世界経済せかいけいざいの先行さきゆきが不安ふあんになり、世界中せかいじゅうで株価かぶかが下落げらくしました。25%の自動車関税じどうしゃかんぜいが発表はっぴょうされた時ときは、アメリカ大手自動車おおてじどうしゃ3社しゃの株価かぶかが下落げらくしました。カナダとメキシコにも工場こうじょうがあるため影響えいきょうが心配しんぱいされることや、輸入部品ゆにゅうぶひんの値上ねあがりによって自動車価格じどうしゃかかくを上あげると売うれなくなる恐おそれがあるからです。

 また相互関税そうごかんぜいを強行きょうこうした4月9日がつここのか、市場しじょうでは国債こくさい(国くにが借金しゃっきんのため発行はっこうする)、アメリカドル、株式かぶしきが同時どうじに売うられる「トリプル安やす」が起おきました。このためトランプ政権せいけんは相互関税そうごかんぜいを90日間停止にちかんていししました。国内こくないでは、物価上昇ぶっかじょうしょう(インフレ)が再ふたたび起おきるとの見方みかたもあります。アメリカは安やすい日用品にちようひんをたくさん輸入ゆにゅうしていますが、高たかい関税かんぜいがかけられれば、店みせは商品しょうひんを値上ねあげせざるを得えないからです。

 一方いっぽう、困こまった各国かっこくは関税かんぜいを減へらしてもらおうとアメリカと話はなし合あいを始はじめ、日本にっぽんは赤沢亮正あかざわりょうせい経済再生担当大臣けいざいさいせいたんとうだいじんが交渉こうしょうにあたっています。全すべての関税見直かんぜいみなおしを求もとめていますが、アメリカが応おうじる見通みとおしは立たっていません。

トランプ政権の対日関税引き上げを巡る2回目の交渉で、協議前に握手する日本の赤沢亮正経済再生担当大臣(右)とベッセント・アメリカ財務長官ら=アメリカ・ワシントンで(代表撮影)

 自由貿易じゆうぼうえき、これからどうなる?

 アメリカは戦後せんご、国際協調こくさいきょうちょうのために自由貿易じゆうぼうえきを進すすめ、経済けいざいが成長せいちょうしてきました。一方いっぽう、トランプさんは第だい1次政権時代じせいけんじだいから、関税かんぜいによる保護主義政策ほごしゅぎせいさくへ方針ほうしんを変かえました。背景はいけいには貿易赤字ぼうえきあかじを抱かかえてきたことや、安やすい海外製品かいがいせいひんにより製造業せいぞうぎょうが衰おとろえたことがあります。ただ、それは各国かっこくも同おなじで、保護ほごしたい国内産業こくないさんぎょうがあります。またWTOが、特とくに中国ちゅうごくの不公正ふこうせいな貿易慣行ぼうえきかんこうに有効策ゆうこうさくを打うてていないなどの課題かだいが出でてきました。

 そんな中なか、日本にっぽんは12か国こくで自由貿易圏じゆうぼうえきけんをつくる「包括的及ほうかつてきおよび先進的せんしんてきな環太平洋かんたいへいようパートナーシップ協定きょうてい(CPTPP)」などで役割やくわりを果はたしています。交渉こうしょうからアメリカは離脱りだつし、中国ちゅうごくは加盟かめいしていませんが、保護主義ほごしゅぎの流ながれに歯止はどめをかけることが期待きたいされます。トランプさんに対たいし、多国間たこくかんの協力枠組きょうりょくわくぐみを守まもることが重要じゅうようだと考かんがえられています。

(2025年ねん5月がつ21日にち 毎日小学生新聞まいにちしょうがくせいしんぶんより)

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