新聞、ニュースでよく見聞きする時事問題やワードを「ニュース時事能力検定」がわかりやすく解説します。
近年、欧州で排外主義(*)が急速に広まり、2度にわたる世界大戦の反省から生まれた欧州連合(EU)の行方に暗い影を落としている。欧州連合よりも自国の主権や利益を優先し、 移民・難民の受け入れや多文化主義に反対する動きは、2020年の英国によるEU 離脱(プレグジット)で鮮明になった。こうした排外主義的な流れは、EUの中核であるドイツやフランスでも強まっている。
ドイツでは極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が支持を拡大している。AfDは当初、EUの共通通貨ユーロに反対して結成された。その後、シリア内戦などに端を発した 2015年の「欧州難民危機」を機に、反移民・難民、反イスラム色を打ち出して、旧東ドイツ地域で支持を固めた。
フランスでは極右政党「国民連合(RN)」が主要な政治勢力としての地位を確立。RNは移民排斥に加え、マクロン政権下における物価高騰などへの不満や生活不安の受け皿になっている。
こうした状況などを背景に、2024年の欧州議会選挙では、AfDやRNといった極右勢力が躍進した。その結果、欧州統合に批判的なEU懐疑派が、議会全体で過去最多の議席を獲得するに至った。
英国の離脱や独仏での極右台頭に共通するのは、長引くインフレや経済格差、移民・難民の流入による文化的・経済的な不安だ。こうした不満や不安は、既存の中道政党や政治エリートへの強い不信感となって表れている。極右勢力はこの不信感を巧みに取り込み、欧州の政治的安定とEUの結束そのものに重大な課題を突きつけている。
*排外主義……明確な定義はないが、アイデンティティー、国籍や文化などが自分とおおよそ等しい人々の集まりから、そうでない人々を他者として排除しようという考え方。「外国にルーツを持つ人々や移民などを国から追い出そうとする」など物理的な方法を主張することもあれば、「少数派が多数派の二の次になるのは仕方ない」など、不利益を被ることを黙認するような主張もある。
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