私の在学している鳥羽商船高等専門学校は伊勢志摩国立公園内の風光明媚な場所にあります。海に面した校舎で海事技術者になるための勉強をしています。海事技術者とは分かり易く言うと船乗りです。船も色々な種類がありますが本校を卒業すると主に海外の港まで航海する大きな船の航海士や機関士として活躍しています。そのため、学校の練習船や他校の学生と一緒に大型の練習船で乗船実習を行います。
私たちの学年は、4年生に進級するタイミングで、校内練習船が3代目鳥羽丸から4代目鳥羽丸へと新しくなりました。3代目鳥羽丸は年齢で言うと30才だったので設備も旧式でしたが4代目鳥羽丸(メイン画像:令和7年3月竣工)では最新の設備となりました。4年生になると船に関する基礎的な知識を理解しているので「どのような新技術が搭載されているのか」「それらがどのように使われるのか」を具体的にイメージしながら実習に臨むことができた点が、とても良かったと感じています。新しい鳥羽丸での実習では、運動性能を理解するために実際に操船を行ったり、落水者が発生した際の対応を実践的に学んだりする実験実習を行いました。1泊2日の乗船実習では出入港作業や当直、火災訓練など、実際の船員業務に近い形での訓練を経験しました。これらの実習の中で特に印象に残っているのは、3代目鳥羽丸との違いです。船の大きさが変わったことで舵の効き方も異なり、針路を保つ難しさを実感しました。一方で、定点保持といった最新の特殊な操船方法を学ぶことができた点は、とても興味深く、実習の楽しさの一つでもありました。この経験を通して、船ごとの特性や新技術を理解することの重要性を学びました。
鳥羽商船高専では、5年半の学校生活の中で、合計約1年間の大型練習船による長期実習が行われます。4年生後期からは一時的に学校を離れ約5か月間の長期乗船実習を行いました。この実習では、全国5校の商船系学科・航海コースの約90名の仲間とともに、「日本丸」という長さ約110mの帆船に乗船しました。

長期実習で乗船した帆船「日本丸」
帆船実習では、「ヤード回し」と呼ばれる作業など、帆船特有の作業も経験しました。これは、状況によっては10人ほどで綱を引き、帆を張るための木製の横棒(ヤード)を回転させる作業です。こうした体験は、普段の実習船ではなかなかできない貴重なものでチームワークの大切さを改めて実感しました。

帆船「日本丸」での実習の様子
船内生活は8人部屋で、航海中は一日4時間を2回の当直があり大変ですが、皆で食べる食事は美味しく、寄港地のシンガポールでは皆で観光したり楽しいことも沢山ありました。実習全体を通して、これまで学校で学んできた知識を実際に活かす良い機会となりました。「鳥羽丸でこういうことがあった」「この点に注意するよう指導された」といった経験を思い出しながら行動することで、自分の成長も実感することができました。
このように、鳥羽商船高専は、豊かな自然環境の中で最先端の設備と実践的な実習を通して専門知識と技術を身につけられるところに加え、将来、世界で活躍する海事技術者を目指すための充実した学びが得られる点も、大きな魅力です。私はこれからも鳥羽商船高専での学びを大切にし、将来は世界で活躍できる航海士になれるよう努力していきたいと思います。
(筆者:商船学科航海コース 林)

操舵室のパイロットチェアに着座して指示を出す林さん(右)
鳥羽商船高専へのアクセス
所在地:三重県鳥羽市池上町1番1号
■電車
JR・近鉄「鳥羽駅」から徒歩30分、タクシー5分
近鉄「池の浦駅」から徒歩10分
■車
伊勢道伊勢ICを通過後、伊勢二見鳥羽ラインの鳥羽方面へ15分