埼玉・千葉・東京を中心に活動している大手住宅メーカーのポラスグループ(本社=埼玉県越谷市)は、木造住宅の建設にあたる大工や内装工などの職人を自社で育成する「ポラス建築技術訓練校」をこのほど報道関係者に公開しました。
※トップ画像は、多くの技能者を生み出すポラス建築技術訓練校(埼玉県越谷市)
JR武蔵野線「越谷レイクタウン」駅から歩いて10分ほどのところにある訓練校は1987年の開設で、基本コンセプトは「学ぶ×働く」。一般的な専門学校とは異なり、「訓練校生は社員として給与を得て、寮生活をおくりながら1年間かけ技術を習得し、卒業までにいろいろな資格取得を目指します」と訓練校は説明しています。
これまでに卒業した966名の修了生の多くは、ポラスグループ内の施工現場で活躍。今年度は、高校や高等専門学校(高専)などを卒業したの新入社員のうち、あらかじめ訓練校生として入校を希望した32名が「木造建築科」と「インテリアサービス科」の2コースに分かれて、職人としての基礎を学んでいます。
体育館のような広い実習室に入ると、濃紺の作業着に身を包んだ20数名の木造建築科の訓練校生が真剣な表情で角材の加工に当たっています。鉋(かんな)を手に、木材の表面を滑らかに仕上げる者がいれば、ステンレス製の長い定規を使って材料の長さや幅を計っている者も…。

別室ではインテリアサービス科の訓練校生が、電気配線の実習に取り組んでいます。インテリアというと、家具やカーテンなどが思い浮かびがちですが、電気配線のほか天井のクロス(壁紙)張りや建具など幅広い知識と技能が必要で、さまざまな技能を身につけた多能工を育成しているそうです。
訓練校生に話を聞いてみると、「大工は子どもの時から憧れの仕事。ここで学んで将来はお客さまに満足してもらえる家をつくりたいですね」、「寮生活は不安だったけどすぐに仲間もできて楽しい。いずれ資格を取得し、技能五輪全国大会への出場を目指します」といった頼もしい答えが返ってきました。
訓練校における基礎訓練と実習を終了すると、技能社員の一員としてポラスグループの住宅建設の各現場でキャリアをスタートさせます。当初は「見習い」として指導員(先輩社員)から直接指導を受けますが、経験を積みながら徐々に独り立ちしていくキャリアプランを整えています。
それにしても、ポラスグループはなぜ独自の訓練校を開設してまで大工などの職人を育成しているのでしょうかーー。ひと言でいえば建築業界における人手不足や高齢化が背景にあります。大工を仕事に選ぶ人は年々減っており、2020年は29万6000人(総務省「国勢調査」)となり、過去20年間で半減となっています。
小学生を対象にしたさまざまな人気職業ランキング調査(男子)によると、大工の人気は電車運転手やパイロットなどと並んで根強いものがあります。それでも親方の元で雑用もこなしながら技能を習得する旧来の「徒弟(とてい)制度」は、現代の若者には受け入れられなくなっています。
職人の手に頼らず、機械を使って木材や部材を高精度に切断・加工する「プレカット」と呼ばれる技術も普及していますが、「高品質な住まいを提供し続けるには、高い技術と幅広い知識をもった『社員大工』の存在が不可欠」とポラスグループはみています。
若手大工・職人の育成に関しては、他のハウスメーカーや工務店なども取り組んでいます。こうした地道な人材育成策を通して、日本の木造建築の伝統と技能が後世に脈々と伝わっていくことが期待されています。
