千客万来ニッポン どう考える?【月刊Newsがわかる7月号】

スクールエコノミスト2026 WEB【東京電機大学中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は東京電機大学中学校を紹介します。

 “自ら学ぶ力”を伴走して育てる。放課後学習支援が新たな文化を創出

<注目ポイント>
①「技術は人なり」の理想を継承し、豊かな人間性を備えた人材を育成。
②メンターが放課後の自学自習を「伴走」し、生徒の「自走」を促す。
③学習支援と部活動を通じ「人間らしく」成長し学び続ける力を育む。

建学の理想を今も堅持する

 1907年、技術立国を夢見た二人の青年が科学者・技術者の育成を目指して創設した東京電機大学。初代学長・丹羽保次郎が遺した「技術は人なり」という言葉は、同大のみならず東京電機大学中学校の教育の根幹を成している。この精神は校訓「人間らしく生きる」に結実し、豊かな人間性を備えた科学技術の担い手を育成する指針となっている。

生徒の学びを支える放課後学習支援

 同校が今、新たな取り組みとして注力しているのが、大学生・大学院生の学習メンターによる放課後学習支援だ。かつては教員のみが個別フォローを行っていたが、より手厚い支援を目指し、従来の図書館や自習室での自主学習以外での新たな選択肢として導入した。平日は3時半から6時半まで9名(土曜5名)のメンターが常駐し、生徒の自学自習をサポート。進路指導部長の星野智教諭は「ずっと寄り添うのではなく、最終的に生徒が自ら学びをコントロールできる『自走』の状態へ導くことが真の目的」と語る。同校では中1・2で基礎学力と学習習慣の確立、中3・高1で主体的学習への移行、高2・3でより自律的な学びを教育目標に掲げている。入学時の学力差は小さいが、学期が進むにつれ取り組み方の差が学力格差へとつながる場合がある。「自力で勉強する習慣が身についていない生徒に学びの支援ができないか」という想いが制度導入の契機となった。参加は原則自由だが、特に中1には参加を促し学習習慣の定着を図る。

 メンターは東京大学や一橋大学、東京学芸大学などの大学生・大学院生であり、理系志望の多い同校のニーズに合わせて理系学生を充実させた。彼らは生徒にとって、親しみやすい「兄姉」のような存在だ。大学での研究内容や学生生活の話を聞く機会もあり、生徒たちは将来の自分をイメージし、キャリア形成のロールモデルとしても刺激を受けている。また、学力の高い生徒も発展的学びのために活用するなど、学習進度を問わず「学びのコミュニティ」が形成されている。生徒は解けない問題をメンターに質問するだけでなく、不定期で開催される英検や模試の対策イベントに参加するなど、目的に応じてこの場を活用している。学習空間が特別教室やカフェテリアであることも特徴だ。ワイワイ、ガヤガヤと友人同士での学び合いや、メンターへの質問・日々の宿題チェック、あるいは参考書での自主学習など、生徒が学び方を選択できる柔軟性がある。カフェテリアの入口には売店や自販機があり、立ち寄った生徒が勉強している仲間の姿を見ることで、学習意識への刺激も自然に生まれている。また、カフェテリアの入退室通知が保護者に届き、わが子の学習参加や居場所が把握でき安心感があるとの声も寄せられている。

 星野教諭は、「入学時からこの支援がスタートしている中1生の多くが利用している。今後は『あそこで勉強してから帰宅する』という学校文化への浸透を期待している」と語る。この文化が全学年に定着することで、自律的に学ぶ生徒を増やし、「いかなる状況でも、よりよく学ぶ力」の育成を目指している。

満席になるほど生徒が集う放課後学習

《次のページ:学びを深める部活動の伝統