生徒の社会活動、挑戦を応援する制度
武蔵には「国外研修奨学金」を始め「国内活動チャレンジ奨励金」「海外活動チャレンジ奨励金」など複数の奨学金制度がある。これらの基金の誕生は、1998年のナホトカ号重油流出事故が端緒となった。その際、海岸の重油除去のボランティア活動に赴いた生徒が現れたが、この行動に対しただ応援するだけではなく金銭的支援をしようという気運が教員の中に生まれた。当初は教員のカンパから始まったこの支援は、やがて制度化され、今日の奨学金制度の仕組みができたのだ。
制度の継続は、同窓会からの恒常的支援に加えて、武蔵の教育哲学に共感している多数のOBからの寄付によって支えられている。愛校心溢れるOBたちの社会での活躍と彼らによる母校支援は、武蔵の強みの一つであると言える。
OBによる支援は金銭的な部分だけではない。毎年7月には、複数のOBが武蔵を訪れ、自らの体験を語るキャリアガイダンスが開催される。これもOBが後進を応援する事例のひとつである。OBたちは、「成功して収入が増え、楽になった」などと語ることは決してない。「今、こんな面白いことをやっている」「やりたいこと、やりたかったことに真摯に取り組んでいる」というやりがい、達成感を生徒に実感を持って語るのだ。彼らの根底にあるのは「今の自分は、挑戦することを許され、支援されたという武蔵での体験があるから」という想いに他ならない。
自調自考に込められたメッセージ
武蔵OBでもある高野橋雅之校長補佐は、40年前、当時の校長が自身の戦時体験を踏まえて生徒たちに何度も強調していた言葉を記憶している。「それは『偉い人が言うから正しい』『多数決で決まったから正しい』といった思考停止の危険性に対する警告でした」と高野橋校長補佐は振り返る。
その警告の奥底にあるのは、固定観念にとらわれず、規則や前提を疑い、根本から考え直す姿勢。そして、その本質を見抜き、変革を恐れない勇気だ。こうした力を持った人材を育てることが、武蔵の教育の根底にある。SNSなどを通じて情報が氾濫する現代では、多数派の意見や権威ある人の発言が無批判に受け入れられがちだ。だからこそ、武蔵が100年以上にわたって培ってきた「自調自考」教育の重要性は、ますます高まっていると言えるだろう。
(文/松岡理恵)
●学校データ
所在地 〒176-8535 東京都練馬区豊玉上1-26-1
TEL 03-5984-3741
学校公式サイト https://www.musashi.ed.jp
海外進学支援 有
帰国生入試 無
アクセス
江古田駅(西武池袋線)徒歩7分
新桜台駅(西武有楽町線)徒歩7分
新江古田駅(都営大江戸線)徒歩7分
中野駅(JR中央線)よりバス「江古田駅」下車徒歩6分
高円寺駅(JR中央線)よりバス「豊玉北」下車徒歩5分
目白駅(JR山手線)よりバス「武蔵大学前」下車
国内外大学合格実績(過去3年間)
東京、京都、東京科学(東京工業・東京医科歯科)、一橋、北海道、東北、大阪、筑波、千葉、横国、群馬、早稲田、慶應義塾、東京理科、上智、国際基督教、東京医科、日本医科、オックスフォード、サセックス、ブリティッシュコロンビア、パデュー、ルートヴィヒ・マクシミリアン(ミュンヘン)、アイントホーフェン工科など
※海外校への転籍者含む
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