社会科なんでもランキング【月刊Newsがわかる10月号】

どこのプールで泳ぐ? 変わる水泳の授業【ニュース知りたいんジャー】

これまで水泳《すいえい》の授業《じゅぎょう》といえば学校《がっこう》のプールに入《はい》るのが当《あ》たり前《まえ》でした。最近《さいきん》は、校外《こうがい》のプールを使《つか》う学校《がっこう》もめずらしくなくなってきました。

 どうして学《まな》ぶの?

 小学校《しょうがっこう》の体育《たいいく》の授業《じゅぎょう》で水泳《すいえい》をすることになっているのはどうしてでしょうか。国《くに》の役所《やくしょ》のスポーツ庁《ちょう》に聞《き》いてみました。
 水《みず》の中《なか》では体《からだ》をうかせるなど、陸《りく》の上《うえ》とはちがう環境《かんきょう》で体《からだ》を動《うご》かす楽《たの》しさを味《あじ》わうことができます。また、こうした全身《ぜんしん》を使《つか》った運動《うんどう》を通《とお》して筋力《きんりょく》、持久力《じきゅうりょく》を高《たか》め、体《からだ》を巧《たく》みに動《うご》かせるようになることに加《くわ》え、体《からだ》の成長《せいちょう》にもよい効果《こうか》を期待《きたい》できる面《めん》があります。
 しかも日本《にっぽん》は川《かわ》や池《いけ》、沼《ぬま》、湖《みずうみ》が多《おお》く、海《うみ》に囲《かこ》まれ水《みず》に恵《めぐ》まれた国《くに》です。その分《ぶん》、水辺《みずべ》での事故《じこ》も後《あと》を絶《た》たず、水泳《すいえい》を学《まな》ぶことは、命《いのち》を守《まも》ることにつながります。
 こうした考《かんが》えから、学校《がっこう》で学《まな》ぶ内容《ないよう》を国《くに》が定《さだ》めた学習指導要領《がくしゅうしどうようりょう》に1968年《ねん》、小学校《しょうがっこう》から中学校《ちゅうがっこう》までの体育《たいいく》の授業《じゅぎょう》で必《かなら》ず学《まな》ぶこととして水泳《すいえい》に関《かん》する運動《うんどう》が明確《めいかく》に位置《いち》づけられました。どの学校《がっこう》でも学《まな》ぶこととなっています。

水泳の授業では、水難事故から命を守るため、服を着たまま泳ぐ「着衣水泳」も指導されている

 なぜ古《ふる》いプールが多《おお》いの?

 日本《にっぽん》は全《ぜん》小学校《しょうがっこう》の約《やく》9割《わり》にプールが備《そな》わっています。これほど学校《がっこう》にプールがある国《くに》は世界《せかい》でもめずらしいといわれています。
 香川県高松市《かがわけんたかまつし》沖《おき》で1955年《ねん》、修学旅行《しゅうがくりょこう》中《ちゅう》の小中学生《しょうちゅうがくせい》が乗《の》った連絡《れんらく》船《せん》「紫雲《しうん》丸《まる》」が沈没《ちんぼつ》し168人《にん》が犠牲《ぎせい》になりました。この事故《じこ》をきっかけに、学校《がっこう》で水泳《すいえい》を学《まな》べるプールを整備《せいび》してほしいという声《こえ》が高《たか》まりました。
 さらに1961年《ねん》、学校《がっこう》のプール整備《せいび》に国《くに》から補助金《ほじょきん》が出《で》るスポーツ振興法《しんこうほう》(いまのスポーツ基本法《きほんほう》)が制定《せいてい》されました。1960~1970年《ねん》代《だい》に各地《かくち》の学校《がっこう》でプールがたくさん造《つく》られていきました。
 造《つく》ってから50年《ねん》以上《いじょう》たち、老朽化《ろうきゅうか》(古《ふる》くてこわれやすくなること)したプールがたくさんあるのは、そのためです。プールの耐用《たいよう》年《ねん》数《すう》(もちこたえられる期間《きかん》)は30~50年《ねん》くらいといわれており、こうした古《ふる》いプールのある学校《がっこう》では、プールを建《た》て替《か》えるかどうかを決《き》めなければいけない時期《じき》になっています。

 建《た》て替《か》えは難《むずか》しいの?

 古《ふる》くなったプールを建《た》て替《か》えるには、1億《おく》5000万《まん》~3億《おく》円《えん》くらいのお金《かね》がかかるといわれています。さらに水道《すいどう》代《だい》や、水質《すいしつ》を検査《けんさ》したり薬品《やくひん》を入《い》れたりする水質《すいしつ》管理費《かんりひ》、ろ過《か》器《き》の点検《てんけん》代《だい》など、維持《いじ》や管理《かんり》にも毎《まい》年《とし》200万《まん》円《えん》前後《ぜんご》のお金《かね》が必要《ひつよう》になるそうです。
 また、学校《がっこう》でプールのそうじをしたり、水道水《すいどうすい》を入《い》れたり、授業《じゅぎょう》前《まえ》に水《みず》がきれいかどうかの水質《すいしつ》を検査《けんさ》したり、水《みず》をきれいにする薬品《やくひん》を入《い》れたりする必要《ひつよう》があります。先生《せんせい》であれ、外部《がいぶ》のスタッフの方《かた》であれ、維持《いじ》するには手間《てま》がかかります。
 一方《いっぽう》で、子《こ》どもの数《かず》は少《すく》なくなり、将来《しょうらい》はクラスが減《へ》ったり学校《がっこう》がなくなったりするかもしれません。たくさんのお金《かね》をかけて改《あらた》めてプールを整備《せいび》するよりは、学校《がっこう》の外《そと》にあるプールをうまく活用《かつよう》してはどうか――という考《かんが》えが生《う》まれてきました。

 温暖化《おんだんか》も影響《えいきょう》しているの?

 地球温暖化《ちきゅうおんだんか》もこうした議論《ぎろん》に大《おお》きな影響《えいきょう》を与《あた》えています。気温《きおん》が35度《ど》以上《いじょう》の猛暑日《もうしょび》が増《ふ》え、水《みず》につかる授業《じゅぎょう》とはいえ、熱中症《ねっちゅうしょう》になる危険《きけん》は陸上《りくじょう》での運動《うんどう》と同《おな》じく増《ふ》えているのです。学校《がっこう》のプールが太陽《たいよう》の照《て》りつける屋外《おくがい》であれば、熱中症《ねっちゅうしょう》のおそれがあるほどの暑《あつ》い日《ひ》は授業《じゅぎょう》を中止《ちゅうし》せざるをえません。
 また、屋外《おくがい》にあるプールでは雨《あめ》の日《ひ》に水温《すいおん》が低《ひく》くなったり雷《かみなり》の危険《きけん》があったりして授業《じゅぎょう》が中止《ちゅうし》になることもあり、十分《じゅうぶん》な授業《じゅぎょう》時間《じかん》が確保《かくほ》できないのではないか、と心配《しんぱい》する声《こえ》もあります。
 水泳《すいえい》は、ういたり息《いき》つぎをうまくしたりと、実際《じっさい》に水《みず》に入《はい》らないと分《わ》からないことが多《おお》い運動《うんどう》です。例《たと》えば、屋内《おくない》の温水《おんすい》プールを備《そな》えている地域《ちいき》のスイミングスクールなら、天候《てんこう》に左右《さゆう》されずに授業《じゅぎょう》ができます。こうしたこともあり、地域《ちいき》の施設《しせつ》をうまく使《つか》って計画的《けいかくてき》に授業《じゅぎょう》を実施《じっし》する工夫《くふう》が各地《かくち》で見《み》られるようになってきたのです。

 校外《こうがい》が広《ひろ》まるの?

 日本水泳連盟《にほんすいえいれんめい》は、こうした先生《せんせい》たちのなやみに答《こた》えようと電話《でんわ》相談《そうだん》「学校《がっこう》水泳《すいえい》授業《じゅぎょう》相談《そうだん》ダイヤル」を設《もう》けています。相談《そうだん》の多《おお》くは、施設《しせつ》の確保《かくほ》や児童《じどう》・生徒《せいと》の移動《いどう》方法《ほうほう》など、校外《こうがい》プールの利用《りよう》についてだそうです。
 全国各地《ぜんこくかくち》で校外《こうがい》プールの利用《りよう》校《こう》が増《ふ》え、東京都福生市《とうきょうとふっさし》は、今年《こんねん》度《ど》から全《ぜん》小中学校《しょうちゅうがっこう》がスイミングスクールで授業《じゅぎょう》をすることになりました。学校《がっこう》のプールではないので、夏《なつ》の時期《じき》に全員《ぜんいん》が入《はい》れず、冬《ふゆ》に授業《じゅぎょう》をすることもあります。福生市《ふっさし》教育委員会《きょういくいいんかい》によると、学校《がっこう》の先生《せんせい》に加《くわ》え、専門《せんもん》のインストラクターが指導《しどう》するので、学校《がっこう》のプールよりたくさんの大人《おとな》が見守《みまも》るメリットもあるそうです。
 日本水泳連盟《にほんすいえいれんめい》は、今後《こんご》は民間《みんかん》のスクールのほか、複数《ふくすう》の学校《がっこう》で拠点校《きょてんこう》のプールを共同《きょうどう》利用《りよう》したり、公営《こうえい》プールを利用《りよう》したりするやり方《かた》が増《ふ》えていくとみています。水泳《すいえい》の授業《じゅぎょう》は校外《こうがい》へお出《で》かけで――という日《ひ》が当《あ》たり前《まえ》になってくるかもしれませんね。

(2026年ねん5月がつ27日にち毎日小学生新聞まいにちしょうがくせいしんぶんより)

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