領土って何だろう【月刊Newsがわかる6月号】

スクールエコノミスト2026 WEB【足立学園中学校編】

スクールエコノミストは、私立中高一貫校の【最先進教育】の紹介を目的とした「12歳の学習デザインガイド」。今回は足立学園中学校を紹介します。

「志」が育む、危機にも動じない生徒たち! 今、注目の非日常体験学習の魅力を探る

<注目ポイント>
①志を持ち、自らの将来を切り拓く人を育成する「志共育」。
②既成の価値観を揺さぶる「アフリカ・スタディーツアー」。
③逞しさと生き抜く力を育てる「防災キャンプ」と「農業畜産体験」。

「志」あるところに道は拓ける

 足立学園の前身となる南足立中学校と南足立商業学校が開校したのは1929年のこと。それまで足立区を含む城北地域には男子中等教育機関がなく、地域住民の切実な願いから有志が設置に向けて協力支援し、開校へとこぎつけた。両校兼任の初代校長となった法学博士の牧野菊之助は大審院院長(現在の最高裁判所長官)を務めており、現職のまま校長に就任。開校式で「質実剛健 有為敢闘」という校訓を示した。誠実で強く逞しいこと、優秀で人の役に立ち、最後までやり遂げる人を育成することを目指したものであり、この精神は今もなお受け継がれている。

 学力向上に注力し、東京大学をはじめとする難関大学合格者も多数輩出してきた同校。高い進学実績を誇ってきた一方で、10代の若者たちのより良い未来を築くために本当に必要な教育とは何かを常に追求してきた。特に近年、社会は目まぐるしく変化し、正解のない課題に向き合う場面が増えている。こうした時代において、人としての土台となるものは、学力や知識だけでなく、その人自身の価値観や判断軸である。足立学園は建学の精神に立ち返り、現代を生き抜く力を育てる「志共育」を教育の柱として据えている。同校が掲げる「志」は単なる将来の夢や職業目標ではない。自分はどのような人間でありたいのか、どのように社会と関わり、他者のために自分の力をいかに役立てたいのか。生徒一人ひとりが自分の志を持ち、それに向けて考え、行動できるようになることが目的だ。

 「志共育」の教育観は入試にも表れている。同校オリジナルの「志入試」は学力だけでなく、志望理由や将来の目標にも重きを置き、面接では自らの言葉で語ってもらう。家庭での受験準備では親子で対話を重ねながら志を見出し、子どもの主体性を育むと共に、保護者が我が子を改めて理解し、将来を考える契機になっている。

冒険心をかきたてるスタディーツアー

 予測不能な時代だからこそ、非日常の出来事に直面しても動じずに道を切り拓いていく力が不可欠だ。足立学園では様々な体験を通じて学ぶ機会が充実している。

 中でも特筆すべきは同校の「“志”グローバルプログラム」の一つであるアフリカ・スタディーツアーだ。4回目の実施となった2025年は中3から高2の計11名の生徒が参加し、期間は13日間。タンザニアを訪れ、首都近郊から地方都市を巡り、プチ留学体験、農園見学、サファリツアーをはじめ、多様なメニューが組み込まれている。普通の海外旅行では味わえない未知の出会いや体験がふんだんなツアーは受験生や保護者からの注目を集め、同校進学を志望したきっかけに挙げる親子もいる。

 ツアーはタンザニアの経済都市であるダルエスサラームの市内見学からスタート。近年、急速な発展を遂げている同国は、高速鉄道や幹線道路の整備が進んだことで都市部と他地域との行き来が盛んになり、人も街も、ポジティブなエネルギーに満ち溢れている。現地の活気を肌で感じ、ある生徒は「タンザニアにはとにかく向上心があった。一方、日本は過去に先人たちが努力して経済を発展させたが、先進国になったという事実に甘んじてきたのではないか」と、日本の現実を鋭く考察した。

 地方都市のキハラカではセカンダリースクールを訪問。授業体験や文化交流など、現地の同世代と共に密に過ごした2日間は、生徒の意欲を大いに引き出した。英語すら十分に通じない環境で「伝えようとしなければ伝わらない」という事実を目の当たりにし、身振り手振りを交えて必死に自分の思いを表現する。日本であれば、その場の空気から察してもらえるものの、異文化の中では自ら行動し、言葉を発しなければ何も始まらないのだ。瀬尾匡範校長は語る。「普段から生徒には足立学園での6年間でいろいろなことに挑戦してもらいたいと伝えています。たとえ失敗しようとも恐れずに、その経験を糧にして、次なる挑戦に力強く踏み出してほしい。このアフリカ・スタディーツアーも、その延長線上にあるものだと思っています」

 旅程の後半ではタンザニアで最も生物多様性に富んでいると言われるルアハ国立公園でサファリツアーを体験。大自然の中で生きる野生動物に圧倒され、ある生徒は動物の生態や絶滅問題へ探究心を広げた。

 他にも帰国後にアフリカへの見識をさらに深めようと、日本政府が主導して開催した「第9回アフリカ開発会議」に参加した生徒、荒川区ボランティアセンターが中心となって行われているタンザニアへのワイシャツ寄付プロジェクトに参加する生徒もいる。アフリカでの日々は一過性の体験に終始せずに生徒の価値観に深く作用し、知的好奇心として生徒の内面に蓄積されていることが伺える。

キハラカのセカンダリースクールで、スワヒリ語の授業中、現地の生徒と学んでいる様子

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