科学コミュニケーターの本田隆行さんと相棒のボットンが、日常のあちこちに潜む科学を探っていきます。今回は秋に見ると何が違う!? 「お月見」をナゾ解き!(「Newsがわかる2023年10月号」より)

お月見って、どんなことするか知ってる?
もちろん! だんごを食べるんでしょ。……あ、満月を眺めながらね
お月さまよりもだんごが先に出てきたか
えへへ。あ、そういえば、なんでだんごをお供えするんだろう? 満月と形が似てるから?
実はだんごでないと、いけないってわけじゃないんだ。地域によっては、サトイモやおもちをお供えするところもある
そうなの?
もともと東アジアでは、この時期がサトイモの収穫時期でね。まん丸なお月さまをイモに見立てて、収穫祭を行っている地域が多いんだ。丸いお供えは、そんなお月見のルーツに関係しているのかも
へえー! 月見だんごには、そんな秘密があったのか……

関西の月見だんごは、まん丸ではなく、サトイモのように先をとがらせた楕円形=大阪府吹田市で2012年9月
そうだ、だんごの形も地方によって違うんだよ。関東は丸い形、関西はサトイモみたいなずんぐりした楕円形が多い。それにあんこが入っていたり、巻かれていたりするものもある。あと、「お月見泥棒」っていう、和製ハロウィーンみたいな風習がある地域もあるんだ
面白そう! くう、おだんご食べたい! 毎月お月見できればいいのにな。……あれ? でも満月って秋だけ見られるものじゃないよね?
確かに。月はおよそ29.5日ごとに満ち欠けを繰り返すんだ。ということは1年に12か13回は満月の日があるはず
やった! ということは毎月お月見ができる!
でも、お月見といえば「中秋の名月」っていうよね。秋の月を眺めるのにはちゃんと理由があるんだよ
えええー、秋の月は特別ってことなの!?
そう。まず違うのは「月の高さ」だよ。月は季節によって昇る高さが変わる。夏ほど低く、冬ほど高く昇るようになるんだ。低いと空気の影響で月明かりが暗くなるし、高いと眺めるのに首が痛くなっちゃう
ということは、春と秋がちょうどいいってことか
ところが、春は空気中に細かなチリが多くなりがちなんだ。黄砂が飛んでくるのも春だよね。一方、秋は空気が乾いているし、春と比べて空気が澄みやすい。だから、月がくっきりと見やすくなるってわけなんだ
秋のお月見には、ちゃんと理由があるんだねえ

満月となった中秋の名月を梅田スカイビル屋上の展望台から眺める人たち=大阪市で2022年9月10日
そうそう、日本では、月の模様のことを「もちつきウサギ」に例えるよね。でも、海外ではライオンやらカニやら、いろんなものに例えているんだよ。ボットンは何に見える?
え〜……ぼくには、きなこをまぶしたおだんごにしか見えない……グウ……

月の模様は、世界のどこで見ても同じ。日本など一部のアジアでは「もちをつくウサギ」に、南ヨーロッパでは「カニ」に、北ヨーロッパでは「本を読む女性」に見立てている
イラスト:こばやし あさみ
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